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2026/07/30 17:05 ~ なし
花屋の業務は、システムによってどう変わるのか

繁忙期のミスを防ぎ、人が本来の仕事に集中できる環境へ
これまで弊社では、花屋の現場で実際に使用する「オーダー管理システム」「請求管理システム」、そして新たに「タスク管理アプリ」の開発を進めてきました。
これまでの記事では、開発の経緯やシステムの概要についてご紹介してきました。
今回は、これらのシステムを使用することで、現在の花屋の業務がどのように改善されるのか。そして、将来的に花き業界全体へどのような可能性をもたらすのかについて考えていきます。
花屋は、限られた繁忙期に注文が集中する
花屋は、年間を通して常に繁忙期が続く事業ではありません。
しかし、お盆、彼岸、母の日、年末など、特定の期間には非常に多くの注文が集中します。
通常期には問題なく対応できていた方法でも、繁忙期になると、注文数の増加によって管理が追いつかなくなることがあります。
注文内容の確認、制作、配達時間、納品先、立札、メッセージ、請求方法、外部業者への発注。
一件の注文だけを見れば、それほど複雑ではないかもしれません。
しかし、それが数十件、数百件と重なれば、確認すべき情報は一気に増加します。
そして、花の注文は一つの間違いが大きな問題につながります。
配達時間が違う。
お届け先が違う。
立札の名前が違う。
注文した商品が届かない。
特に葬儀やお祝いの花は、納品のやり直しが難しい商品です。
だからこそ、繁忙期に大量のオーダーを正確に管理できる仕組みが必要になります。
FAXやメールによる発注に残る不確定要素
現在も花き業界では、FAX、メール、電話、手書きの注文書など、さまざまな方法で発注が行われています。
取引先ごとに注文書の形式が違い、それぞれのフォームへ内容を書き直すこともあります。
また、店舗独自の伝票と取引先への発注書が混在することで、どれが自社用で、どれが外部業者へ送るものなのか分かりにくくなる場合もあります。
FAXが正常に送信されているのか。
メールが相手に届いているのか。
手書きの文字が正しく読まれているのか。
注文内容が先方へ正確に伝わっているのか。
これらは、送信した側からは完全に確認できない不確定要素です。
通常であれば問題なく処理されていても、万が一、繁忙期に注文の見落としや読み間違いが起これば、大きな損失につながります。
アナログな方法そのものを否定するわけではありません。
しかし、注文数が増え、働く人が変わり、複数の店舗や取引先が関係するようになるほど、人の注意力だけに依存した管理には限界が生じます。
共通システムによる情報共有の可能性
弊社が現在開発しているシステムは、現時点では株式会社マルイチ一社での運用を前提とした仕様です。
そのため、他社のシステムへ注文データを直接送信し、自動的に起票する機能は、まだ実装していません。
しかし、将来的に同じシステムを利用する事業者が増えた場合、システム同士で注文データを送受信することも可能になります。
例えば、花屋がシステム上で外部業者への発注を行う。
発注先も同じシステムを使用していれば、受信したデータから注文内容を自動的に読み取り、相手側のシステムへ新しい受注として起票する。
この仕組みが実現すれば、FAXやメールを確認し、内容を別の伝票へ書き直す作業が不要になります。
発注側と受注側が同じ情報を共有するため、転記ミスや読み間違いも減らすことができます。
老若男女を問わず、決められた項目へ入力することで、同じ形式の情報を共有できる。
店舗独自の伝票と外部業者への発注書が混在することもなくなります。
利用者が増えることによって、単なる一店舗の業務システムではなく、事業者同士をつなぐ共通基盤へ発展する可能性があります。
今後、利用を希望する事業者が増えるようであれば、こうした事業者間連携機能についても実装を検討していきたいと考えています。
独自システムが増えても、業界全体の共通化にはならない
すでに自社独自のシステムを導入している企業もあると思います。
しかし、それぞれの企業が外部へ依頼して開発したシステムには、基本的に互換性がありません。
同じ受注管理システムであっても、会社によって画面、操作方法、入力項目、処理の流れが異なります。
初めて触る人は、その会社独自の操作方法を一から覚えなければなりません。
職場が変われば、再び新しいシステムを覚える必要があります。
システムの操作に慣れていない人や、長年アナログな方法で仕事をしてきた人にとっては、「システム」という言葉そのものに抵抗を感じる場合もあります。
難しい操作方法や複雑な画面は、その抵抗感をさらに大きくします。
これも、業界が新しい方向へ進みにくい理由の一つではないでしょうか。
重要なのは、単に各社がシステムを導入することではありません。
誰でも扱いやすく、事業者が変わっても基本的な操作が共通し、必要な情報を同じ形式で共有できる環境をつくることです。
将来的に共通システムとして標準化されれば、店舗や会社が変わるたびに一から操作を覚える必要がなくなります。
新しい職場でも、基本的な作業方法が共通していれば、システム操作に関する教育時間を大幅に減らすことができます。
オーダー管理を基幹として、すべてをつなぐ
現在、弊社が開発しているシステムは、「オーダー管理システム」を基幹としています。
最初にオーダー管理システムへ注文内容を登録することで、その情報を別のシステムやアプリへ連動させます。
請求が必要な注文は、登録された情報を基に請求管理システムへ連携します。
最近ロールアウトしたタスク管理アプリも、オーダー管理システムを基幹として動作します。
注文を登録すると、必要な納品タスクが自動的に作成されるため、タスク管理アプリ側で同じ内容を再度入力する必要はありません。
つまり、一つの注文情報を起点として、
オーダー管理
納品タスク管理
請求管理
を一貫してつなぐことができます。
システムごとに同じ内容を入力する必要がなければ、入力時間を短縮できるだけでなく、転記による間違いも防ぐことができます。
一度入力した正しい情報を、それぞれの業務で活用する。
これが、基幹システムを中心に業務を連動させる大きな意味です。
システムが排除するのは「無理・ムラ・無駄」
システムによって可能になることは、何度もお伝えしているように、組織の中で日々蓄積し続ける「無理・ムラ・無駄」の排除です。
同じ内容を何度も書き写す。
注文内容を複数の場所へ入力する。
担当者が一件ずつ配達時間を確認する。
請求書を作るために過去の伝票を探す。
納品が終わっているか、全員へ聞いて確認する。
一つひとつは小さな作業です。
しかし、毎日繰り返せば大きな時間になります。
また、その作業を複数人がそれぞれ違う方法で行えば、業務にムラが生まれます。
忙しい時期に通常と同じ確認作業を続ければ、現場に無理がかかります。
人が頑張ることで成立している業務は、担当者が変わった時や注文が急増した時に崩れやすくなります。
業務をシステムへ任せ、人間は入力された内容と処理結果を確認する。
この形へ移行することで、確認漏れを防ぎながら、人が直接行う作業を減らすことができます。
「人に作業をつける」から「作業に人をつける」へ
従来の業務では、人を採用した後に、その人へさまざまな作業を割り当てることがあります。
注文受付もする。
伝票も書く。
配達確認もする。
請求書も作る。
電話にも出る。
このように「人に作業をつける」方法では、担当者の能力や経験に業務が依存します。
仕事ができる人へ作業が集中し、その人が休むと業務が止まる状態にもなりかねません。
一方、業務の流れをシステム上で整理すれば、今どの作業が必要なのかを明確にできます。
そして、その時に必要な作業へ、必要な人を配置できます。
これが「作業に人をつける」という考え方です。
人を中心に業務を組み立てるのではなく、必要な作業を可視化し、適切な人員を適切な場所へ配置する。
その結果、特定の人に依存しにくい組織をつくることができます。
生まれた余白を、商品とサービスの向上へ使う
システムによる業務改善は、単に仕事を楽にするためのものではありません。
日々の作業時間を短縮することで、仕事に余白が生まれます。
その余白を、商品の研究、技術の向上、新商品の開発、売場改善、仕入れの見直し、お客様への提案に使うことができます。
無駄な作業を削減できれば、不要な残業や過剰な人員配置を防ぎ、人件費の適正化にもつながります。
ただし、人を減らすことだけが目的ではありません。
人が本来いるべき場所へ、人を配置できるようにすることが重要です。
花を制作する。
お客様の要望を聞く。
用途に合わせた商品を提案する。
品質を確認する。
新しい商品やサービスを考える。
これらは、人にしかできない仕事です。
機械的な転記や確認作業はシステムに任せ、人は人にしかできない仕事をさらに高い水準へ昇華していく。
それが、弊社が目指している業務改善です。
小売業は、お客様に関わる仕事を最優先にする
我々小売業は、すべてにおいてお客様を優先しなければなりません。
極端に言えば、お客様へ直接価値を提供しない作業は、可能な限り簡素化していく必要があります。
もちろん、請求、伝票管理、売上管理、納品確認などの後方作業も重要です。
しかし、後方作業に人を配置し続けた結果、人件費が膨らみ、接客、制作、配達、商品管理といった本来必要な仕事が手薄になっては意味がありません。
重要な後方作業だからこそ、属人的な管理ではなく、システムによって正確かつ効率的に処理する必要があります。
システムが処理し、人間が確認する。
そして、人はお客様と商品に向き合う。
この役割分担が、これからの小売業には必要になると考えています。
繁忙期にこそ、システムの真価が問われる
これから花屋にとって重要な繁忙期が訪れます。
短期間に多くの注文が集中し、それらを正確に制作し、決められた場所と時間へ納品しなければなりません。
注文が増えても、ミスは許されません。
通常期には見えにくかった業務上の問題も、繁忙期には明確に表れます。
入力の重複。
確認漏れ。
情報共有の遅れ。
担当者への依存。
伝票の混在。
納品状況の不透明さ。
こうした問題を一つずつシステムによって整理し、注文から納品、請求までを一貫して管理する。
まさに繁忙期にこそ、このシステムの真価が発揮されると考えています。
今回の繁忙期でも実際の運用を通じて検証を行い、現場で発生した問題や改善点を記録していきます。
そして、より多くの人が迷わず使え、より正確に業務を進められるシステムへ改良を続けていきます。
花屋の現場から、業界の共通基盤へ
現在は、株式会社マルイチ一社で使用するシステムとして開発を進めています。
しかし、将来的に利用者が増え、事業者同士で同じ形式の情報を共有できるようになれば、可能性は大きく広がります。
店舗が変わっても操作方法が大きく変わらない。
発注先が変わっても同じ形式で注文できる。
受信した注文が自動的にシステムへ登録される。
転記や再入力をせず、正確な情報を共有できる。
そのような共通基盤ができれば、各社が個別に抱えてきた教育、入力、確認、連絡の無駄を削減できます。
これは、単なる一企業の業務効率化ではありません。
花屋、市場、仲買、関連事業者が同じ仕組みでつながることで、花き業界全体の業務を変える可能性があります。
まだ構想段階の機能も多く、すべてが完成しているわけではありません。
まずは自社の現場で実際に使用し、問題点を発見し、改善する。
その積み重ねによって、本当に現場で使えるシステムへ育てていきます。
今後も実運用とアップデートを繰り返しながら、人が人にしかできない仕事へ集中できる環境を目指してまいります。


