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2026/07/18 17:29 ~ なし
【新システム開発】➤そして小売業の未来について考える

マルイチが新開発した「配達・タスク管理システム」
花屋の仕事は、単に花を仕入れ、加工し、販売するだけではありません。
ご注文の受付、商品制作、仕入れ、配達時間の調整、会場への確認、立札やメッセージの作成、請求書の発行、入金管理、売上管理など、ひとつの注文を完了させるまでに数多くの業務が発生します。
特に、葬儀や法要、開店祝い、記念日などに届ける花は、納品日時を間違えることが許されません。
花の品質がどれだけ高くても、指定された時間に商品が届かなければ、お客様にとっては大きな問題になります。
そこで株式会社マルイチでは、花屋の業務効率化とヒューマンエラー防止を目的として、現場で実際に使用する業務システムの開発を継続しています。
今回、新たに開発したのが、花屋の配達業務に特化した「配達・タスク管理システム」です。
花屋業界にも「個人の記憶に頼らない経営」が必要になっている
現在、さまざまな業界でDX、業務標準化、自動化が進んでいます。
一方、花屋業界では、今もなお個人の経験、記憶、判断力、注意力に依存している業務が少なくありません。
「担当者が覚えているから大丈夫」
「カレンダーに入れてあるから問題ない」
「いつもやっている仕事だから忘れない」
このような管理方法は、業務量が少ないうちは成立するかもしれません。
しかし、注文数が増え、複数店舗を運営し、複数のスタッフが作業に関わるようになると、個人の記憶だけで管理することには限界が生じます。
スタッフが休んだ場合、担当者が変更になった場合、注文内容が途中で変更された場合など、少しの状況変化によって情報伝達の漏れや認識の違いが発生します。
特に花屋では、注文ごとに商品、用途、納品先、配達時間、名札、メッセージ、請求方法などが異なります。
つまり、同じ作業を繰り返しているように見えても、実際には注文ごとに条件が異なる「多品種・少量・個別対応型」の業務なのです。
だからこそ、花屋の業務には、個人の能力を補助し、誰が担当しても一定の水準で作業できるシステムが必要だと考えています。
マルイチでは花屋専用システムを自社開発しています
株式会社マルイチでは、これまでに以下の業務システムを開発し、実際の店舗運営で使用してきました。
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オーダー管理システム
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請求管理システム
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経営KPI管理システム
これらは、完成したシステムを単に導入したものではありません。
花屋の現場で実際に使用しながら、実運用テスト、バグフィックス、機能改善、UI改善を繰り返し、現場の業務に適合させてきたシステムです。
システム開発では、機能を増やせば便利になるとは限りません。
不要な入力項目や確認作業が増えれば、操作が複雑になり、かえって業務効率を低下させます。
そのため当社では、現場で使われていない機能や重複している作業を洗い出し、業務フローそのものを再設計してきました。
その結果、従来の業務方法と比較して、重複入力や不要な確認などのタスクを半分以上削減することに成功しています。
これは単なるデジタル化ではありません。
紙で行っていた作業を画面に置き換える「デジタイゼーション」ではなく、業務プロセスそのものを再構築する「デジタルトランスフォーメーション」を、花屋の現場で実行しているということです。
業務を効率化しても、ヒューマンエラーのリスクは残る
オーダー管理、請求管理、経営数値の管理をシステム化することで、事務作業の大部分は効率化できました。
しかし、それでも最後に残る課題があります。
それが、現場で発生するヒューマンエラーです。
特に注意しなければならないのが、配達や納品に関するミスです。
花屋が取り扱う商品は、お客様の人生の節目に関係することが多くあります。
葬儀、法要、開店祝い、周年祝い、誕生日、結婚記念日、プロポーズ。
このような場面で届ける花は、別の日に届ければよいという商品ではありません。
指定された日時に、指定された場所へ、正しい商品を納品することに価値があります。
そのため、配達忘れ、時間の見落とし、確認漏れ、担当者間の認識違いは、限りなくゼロに近づけなければなりません。
Googleカレンダーなどの外部スケジュール依存から脱却する
これまでは、配達予定や作業予定の管理にGoogleカレンダーなどの既存スケジュールサービスも活用してきました。
一般的なスケジュール管理には非常に便利なサービスです。
しかし、花屋の配達管理に特化して考えた場合、いくつかの課題があります。
外部のスケジュールアプリには、仕事の予定だけでなく、会議、個人予定、一般的なリマインダーなど、さまざまな通知が集まります。
通知の数が増えると、利用者は無意識のうちに通知を見慣れてしまいます。
「内容は分かっている」
「あとで確認する」
「すでに把握している予定だ」
このような判断によって通知を閉じ、結果として作業の完了確認が曖昧になる可能性があります。
これは「アラート疲労」と呼ばれる状態に近いものです。
通知が多すぎることで、一つひとつの通知に対する注意力が低下してしまうのです。
そこで今回、外部スケジュールアプリを業務管理の中核とする運用から脱却し、配達業務だけを独立して管理できる専用システムを開発しました。
新開発した「配達・タスク管理システム」
今回開発した配達・タスク管理システムは、花屋の当日業務と配達進捗を可視化するための専用アプリケーションです。
スマートフォン、タブレット、パソコンにインストールして使用でき、各端末へ業務専用の通知を送ることができます。
一般的な予定表とは分離されているため、配達や納品に関する通知が、個人予定やほかの通知に埋もれにくくなっています。
また、このシステムは単に予定を表示するだけのアプリではありません。
タスクが完了するまで、作業を追跡し続ける「ステータス駆動型」の管理システムです。
完了するまで通知を止めない仕組み
新システムでは、配達予定時刻に応じて段階的に通知を行います。
配達予定時刻の30分前、予定時刻、予定時刻を超過した場合など、作業状況に応じて通知内容を変化させます。
予定時刻を過ぎてもタスクが完了していない場合には、30分ごとに再通知を行います。
つまり、通知を一度閉じただけでは、業務は完了したことになりません。
担当者がシステム上で「完了」を登録するまで、未完了タスクとして残り続けます。
従来のスケジュール管理では、予定が表示された時点でシステムの役割は終了します。
一方、今回のシステムでは、予定を知らせるだけでなく、作業が完了したことを確認するところまでを管理します。
「通知したか」ではなく、「業務が完了したか」を基準に設計している点が大きな違いです。
オーダー管理システムと自動連携
配達・タスク管理システムは、単独で予定を手入力する仕組みではありません。
マルイチがすでに運用しているオーダー管理システムを、すべての業務情報の起点としています。
オーダー管理システムに注文内容を登録すると、その内容をもとに必要な納品タスクが自動生成されます。
このように、ひとつの受注データを複数のシステムで連携して使用する仕組みを「Single Source of Truth」、日本語では「信頼できる唯一の情報源」と呼びます。
複数のシステムに同じ内容を何度も手入力すると、入力漏れや内容の不一致が発生します。
例えば、オーダーシステムでは配達時間を変更したものの、カレンダー側の予定を変更し忘れるといった問題です。
今回の仕組みでは、受注データを唯一の起点とすることで、二重入力や転記ミスを防ぎます。
注文登録と同時にタスクを生成するため、「予定表に登録する作業を忘れる」というミスそのものを業務フローから排除できます。
これは、人間に注意を求めるのではなく、ミスが起こりにくい構造をつくる「ポカヨケ」の考え方でもあります。
当日の業務を一画面で可視化
新システムでは、当日に必要な配達や作業を一覧で確認できます。
担当者は、何が完了していて、何が未完了なのかを一画面で把握できます。
これにより、次に何を行うべきかが明確になり、無駄な確認や移動を減らすことができます。
管理者側も、店舗や担当者の進捗を確認できるため、作業の遅延や業務の偏りを早期に把握できます。
ある担当者に作業が集中している場合には別の担当者へ割り振るなど、状況に応じた調整も可能になります。
経験や勘だけで判断するのではなく、現在の作業状況をデータとして把握したうえで人員配置を行うことができます。
これは、業務の見える化だけではなく、店舗全体のリソースマネジメントにもつながります。
一日の最後に「全業務完了」を確認する
今回のシステムでは、一日の最後に使用する「本日の業務すべて完了を確認しました」という最終確認機能も設けています。
ただし、未完了のタスクが残っている状態では、このボタンを押すことができません。
すべての配達、納品、確認作業について個別に完了処理を行い、未完了タスクがゼロになった場合にのみ、一日の業務を終了できます。
この仕組みにより、「おそらく全部終わっている」「ほかの人がやったと思う」といった曖昧な状態で業務を終了することを防ぎます。
また、タスクの完了者と完了時刻を記録することで、誰が、いつ、どの業務を完了したのかを確認できます。
これを監査証跡、またはオーディットログと呼びます。
「言った、言わない」
「やった、やっていない」
「誰が確認する予定だったのか」
このような認識の違いを減らし、責任の所在を明確にします。
責任を追及するためではありません。
それぞれの担当者が自分の役割を明確に認識し、安心して業務を行うための仕組みです。
忙しすぎてもミスは起こります。繁忙期と閑散期、どちらにもミスは発生する
ヒューマンエラーは、忙しいときだけに発生するものではありません。
繁忙期には、注文数や作業量が増えることで確認が追いつかず、作業漏れが発生します。
一方、閑散期には、「今日は注文が少ないから把握できている」という思い込みによって確認作業が省略され、抜けが発生することがあります。
余裕がありすぎてもミスは起こります。
人間の集中力や注意力には、どうしても日ごとのムラがあります。
だからこそ、個人の調子にかかわらず、同じ手順で確認できる仕組みが必要です。
システムは、スタッフの代わりに花を制作したり、お客様へ接客したりするものではありません。
人間が本来集中すべき仕事に集中できるように、忘れてはいけない確認作業を補助するものです。
花屋業界に必要な3S
小売業の業務改善では、以前から次の3つの考え方が重視されてきました。
Specialization|スペシャリゼーション
作業を専門化し、店舗や企業としての強みを明確にすることです。
花屋においては、花の品質、デザイン力、接客力、提案力、加工技術など、人間にしか生み出せない価値を高めることが該当します。
Simplification|シンプリフィケーション
複雑な作業を単純化することです。
入力作業、確認作業、伝達作業などを整理し、誰でも迷わず作業できる状態をつくります。
Standardization|スタンダーディゼーション
作業を標準化し、担当者によるバラツキを減らすことです。
経験のあるスタッフだけが業務を理解している状態ではなく、誰が担当しても同じ手順、同じ基準、同じ品質で業務を進められるようにします。
当社が開発しているシステムは、この3Sを花屋の現場で実現するためのものです。
特殊化すべき仕事は人間が担当し、単純化できる作業はシステムで簡素化し、ミスが許されない業務は標準化する。
この役割分担が、これからの花屋経営には必要だと考えています。
地域の小売業を取り巻く環境は大きく変化している
かつて、小売業の未来について、地域の中小企業や個人商店は減少し、大型店舗への集約が進むといわれていました。
実際に、現在は多くの業界でM&A、企業統合、チェーン化、業務の標準化が進んでいます。
さらに、セルフレジ、自動発注、需要予測、在庫最適化など、人間が行っていた作業も次々とシステムへ置き換えられています。
個人の経験や裁量だけに依存した経営は、以前よりも難しくなりました。
しかし、これは人間の価値がなくなるという意味ではありません。
むしろ、標準化できる作業がシステムに移行するほど、店舗で働く人間の接客力や提案力が重要になります。
商品を並べておけば、店の看板だけで売れる時代ではありません。
お客様は、どの店で買うかだけではなく、誰から買うかを重視するようになっています。
「看板から買う時代」から、「人から買う時代」への転換です。
システム化の目的は、人を減らすことではない
業務システムや自動化という言葉を聞くと、人員削減を目的としたものだと思われることがあります。
しかし、マルイチがシステム開発を行う目的は、人を減らすことではありません。
人間が行う必要のない重複入力、転記、確認、集計などを減らし、お客様と向き合う時間を増やすことが目的です。
事務作業に一時間かけていたものを30分に短縮できれば、残りの30分を接客、商品制作、売場管理、品質管理に使用できます。
その積み重ねが、店舗全体のサービスレベルを向上させます。
これからの小売業では、単に作業を速くこなすだけでは競争力になりません。
限られた時間と人員を、どの業務に配分するかが重要です。
システムによって管理業務を効率化し、人間はお客様への提案や商品品質の向上に集中する。
これが、マルイチが目指している業務設計です。
店舗や担当者が変わっても、同じ品質で運営できる仕組みへ
個人商店では、経営者やベテランスタッフの頭の中に、業務のルールや判断基準が蓄積されていることがよくあります。
この状態では、その人が不在になると業務が止まります。
また、店舗ごとに独自の方法が増えると、同じ会社であっても確認方法や作業品質に違いが生じます。
マルイチでは、店舗や担当者が変わっても、同じ仕組みで業務を管理できる状態を目指しています。
店舗ごとのローカルルールや個人の記憶に依存するのではなく、受注情報、配達情報、請求情報、経営情報を共通のシステムで管理する。
これにより、スタッフが別の店舗へ移動した場合でも、基本的な操作や確認方法は変わりません。
会社が変わったとしても、共通化された業務システムを使用できれば、教育期間を短縮できます。
このような仕組みが業界全体に広がれば、花屋の仕事を属人的な仕事から、再現性のある専門職へ変えていくことができます。
花屋専用システムの業界標準化を目指して
10年前、20年前と比較すると、商売の方法、情報伝達の速度、お客様の購買行動、スタッフの働き方は大きく変化しました。
しかし、現場の業務管理だけが昔の方法のまま残っているケースは少なくありません。
紙の伝票、口頭での伝達、個人の手帳、ホワイトボード、一般的なカレンダーアプリ。
これらの方法がすべて悪いわけではありません。
ただし、注文数、店舗数、スタッフ数が増えれば、従来の方法だけでは情報を正確に管理することが難しくなります。
マルイチでは、花屋の現場で本当に必要とされる機能を検証しながら、オーダー管理、請求管理、経営KPI管理、配達・タスク管理を連携させています。
誰でも使えること。
誰でも確認できること。
店舗が変わっても運用できること。
担当者が変わっても業務品質が変わらないこと。
そして、人間が本来行うべき接客、提案、制作、品質管理に集中できること。
私たちは、これらを実現する花屋専用業務システムの確立と、業界全体の業務標準化を目指しています。
システムは、人間を管理するためだけのものではありません。
人間の記憶力や注意力だけに頼らなくても、安心して仕事ができる環境をつくるためのものです。
花屋の仕事を簡素化し、業務を標準化し、そのうえで人間にしか生み出せない価値を最大化する。
新たに開発した配達・タスク管理システムは、その実現に向けた重要な一歩です。
これからも株式会社マルイチでは、実際の花屋の現場で運用と改善を繰り返し、業務効率化、配達ミスの防止、サービス品質の向上につながるシステム開発を続けてまいります。


